初恋の続きはトキメキとともに。
「ひろせ……洸くん、本気ですか?」

「もちろん。今のはギリギリだったね。残念、俺は遥香にあーんしたかったけどな」

柔らかな瞳にからかう色を宿し、洸くんはフッと口角に笑みを浮かべた。

イタズラ好きの少年のような、無邪気さが漂よう笑みにトクンと胸が高鳴る。

先程からの一連のやり取り、そして罰ゲーム。

胸を掻き乱すことの連続で、私の意識は根こそぎすべて洸くんに奪われていく。

いつの間にか私は、あれほど神経を尖らせていた周囲の視線が気にならなくなっていた。

正確に言えば、もうそれどころではなく、気にする余裕などなかった。

今度は先程とは違う意味で、落ち着かない状態に陥っていたのだった。


◇◇◇


カフェでランチを済ませた後は、再び車に乗ってドライブだ。

ドライブコースとして人気のある海沿いの国道を走る。

天気が良いから見晴らしがとてもいい。

カフェから眺める海も絶景だったが、車窓に流れる海の景色も格別だ。

「ひろ、洸くん……少しだけ窓を開けていいですか?」

なにげなく口を開くと、あやうく“広瀬主任”呼びしそうになり、私は慌てて言い直す。

今のは大丈夫だよね?と心配になり、そろりと隣の運転席を窺った。

洸くんは前を向いたまま、口元を緩める。

「ふふっ……そんな心配そうな顔しなくても。大丈夫、今のはセーフ。あと、窓は好きに開けてくれていいよ」

「ありがとうございます」

許可を得ると、私はボタンを押して窓を半分くらいまで下ろした。

窓を開けた途端、風が一気に流れ込んできた。

髪を揺らす風は、潮の匂いがする。

水面がキラキラと輝く真っ青な海。
砂浜に打ち寄せる波の音。
鼻腔をくすぐる穏やかな潮風。

海沿いのドライブは、目や、耳や、鼻を楽しませてくれて、私は夢中になって窓の外を眺めた。
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