初恋の続きはトキメキとともに。
女の勘が働くと主張する高梨さんはまだ納得のいかない顔だ。

真実を知る私からしたら、高梨さんの鋭さには舌を巻く。

私は内心でヒヤヒヤしてしまい、手に汗がうっすら滲んだ。

「――それより、事前にメールしておいた通り、俺は明後日から地方出張で1週間不在になるから。何か確認書類とかがあれば早めに頼むよ」

小休憩中の雑談がちょっとした盛り上がりを見せる中、ここでようやく洸くんがみんなの意識を仕事へと引き戻した。

真面目な顔で自身の予定を踏まえた留意事項を口にする。

 ……そっか、洸くんしばらくは出張でいないんだ。

となると、今週末は会えないだろうし、次に2人で会うのは早くて来週末になるだろう。

告白されて、付き合うことになって、デートして、キスして……と、ここまで短期間で怒涛の展開だったから慌しかった心を落ち着かせるにはちょうどいいかもしれない。

顔が見れないのは寂しいけれど、ほんの少しだけホッとした。

「了解っす! あ、そういえばオレも今週木曜・金曜と2日間は研修だった。その分、週前半にアポ入れとかないと! この研修って南雲さんもだよね?」

「うん、中堅社員研修だよね」

私も今週は後半に人事から招集を受けた研修の予定が入っている。

久我くんと同じように前倒しで仕事を片付けておかなければいけない。

 ……よし、頑張ろ!

私は再びパソコンへ視線を戻すと、先程以上に集中してサクサク仕事を進めていった。


◇◇◇

その週の木曜日、私は本社ではなく、都内にある会社所有の研修施設へ足を運んでいた。

ここは研修用の会議室や講義室の他、食堂や宿泊施設なども完備されている。

まさに缶詰状態で教育研修に集中できる環境が揃っている場所だ。

当社社員は入社時研修時に必ずここを利用するし、その後も定期的にある研修の度に訪れるためお馴染みの場所でもある。
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