初恋の続きはトキメキとともに。
「あれ? そのパーカーって、もしかして『ソラリス』?」

「……意外。知ってんだ?」

私がそう言うと、珍しく結城くんが虚をつかれたように僅かに目を見開いた。

『ソラリス』とはロックバンドの名前だ。

青春感のあるエネルギッシュな曲や、切ないバラード、哲学的な歌詞に定評があり、テレビの音楽番組にも出演するなど人気がある。

ただ、活動歴も長くそこそこ有名ではあるものの、誰でも知ってる国民的なバンドというほどではない。

「学生の頃によく聴いてたの。でも最近の曲はあんまり詳しくないんだけどね。結城くんは? バンドのパーカー着てるくらいだから、『ソラリス』のファンなの?」

「そう、昔も今も『ソラリス』ばっか聴いてる。……学生の頃なら『夜空のリフレイン』とか知ってる?」

「それ! まさにその曲! 好きで何度も聴いてた!」

ドンピシャで私の好きな曲名が結城くんから返ってきて、私は思わず感情が昂ぶって声を張り上げた。

 ……懐かしい。高校生の頃、『広瀬先輩』に片想いしながらよく聴いてたもんなぁ。

「好きな人がいるって素敵で幸せなことだよね」というメッセージの曲のため、当時の私にはものすごく刺さったのだ。

あの頃の甘酸っぱい記憶が蘇ってくる。

「いい曲だもんな。ライブでも鉄板だし。でも最近の曲にも痺れるの多いから絶対聴くべき。特にアルバム収録曲はヤバイ」

「そうなんだ、今度聴いてみるね! おすすめの曲ってある?」

「全部。あえて絞るなら、『ネオンシフト』と『青い光の街』は聴いてみて欲しい」

「うん、聴いてみる。えーっと、『ネオンシフト』と『青い光の街』、だっけ? 忘れちゃいそうだからメモしとかなきゃ……!」
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