初恋の続きはトキメキとともに。
即座にそう思った。

私が知らない時代の洸くんにすごく興味がある。

好きな人のことならなんでも知りたい。

そんな衝動に駆られ、洸くんがキッチンから飲み物を持って戻って来た時、私は前のめりで頼み込んだ。

「洸くん! 本棚にある中学と大学の卒業アルバム、見ていいですか……!?」

「別にいいけど、高校はいいの?」

「………あっ」

心の中でしまった!と焦る。

高校時代の洸くんのことはすでに知っているから、無意識に除外していた。

でも確かに洸くんにしてみれば、不思議に思うのも無理ない。

高校だけ除外したことに違和感を覚えるだろう。

この事態をどう誤魔化そうかと頭が高速回転し始める。

だけど、残念ながら上手い言い訳がすぐには浮かんでこない。

 ……どうしよう。高校だけ除外しちゃったもっともらしい言い訳、何かない……!?

ここで上手く誤魔化せなければ、隠していることを色々白状しないといけなくなる。

一方的にずっと見てたとか、憧れてたとか、地味で冴えない高校時代だったとか、洸くんには知られたくない。

「えっと……それは、その……」

頭の中で必死に言い訳を探すのに、何ひとつ形にならず、唇の端がひきつった。

穏やかだった洸くんの視線に、徐々にうっすら怪訝さが混じり始める。

マズイと思ったその時だ。

微妙になりかけていた空気を切り裂くように、私のスマホのバイブ音が鳴り響いた。
 
決して大きな音ではないはずなのに、やけに鮮明に聞こえる。

「あ! 私のスマホですね。電話かな? ちょっと確認させてもらいますね……!」

私はこれ幸いと、スマホに飛びつく。

どうやらメッセージだったようで、手に取った瞬間にバイブ音は鳴り止んだ。

けれど、私は構わず内容に目を通し始めた。

 ……ふぅ、いいタイミングでスマホが鳴ってくれて助かっちゃった。

まさに救世主だ。

おかげで洸くんの気を逸らすことに成功したみたいだし、隠し事を暴露する事態も避けられたはずである。

心の中で感謝の祈りを捧げながら、今しがた届いたメッセージ通知を見た。

 ……あれ? 結城くん?
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