初恋の続きはトキメキとともに。
 ……確かに私が悪いよね。卒業アルバムの件を誤魔化したくて、ついスマホにばかり意識を向けちゃってたし……!

一緒にいる相手がスマホばかり見ていたら不快に感じるのは当然だ。

普段の私なら絶対にしない行動である。

「すみません……! 放置したつもりはなかったんですけど、でも私が悪かったです。もうスマホは見ません!」

「それで、遥香は誰とメッセージしてたのかな? 言わないなら覗くよ?」

「えっと、同期の結城くんです……!」

私は慌てて素直に謝り、その上で先日の同期会での出来事も含めてメッセージのやりとり内容をすべて率直に説明した。

「へぇ……」

話を聞き終えた洸くんは、低く落とした声をぼそっと零した。

そして背に回す腕に力をこめ、柔らかな笑みを浮かべて私を見下ろす。

「実はこの前、久我から研修の時に遥香と結城くんがいい雰囲気だった、って聞いたんだ。その時は信じてなかったけど……休日に連絡を取り合うなんて、仲良いんだね?」

「ご、誤解です! 結城くんとは確かに同期の中では話す方ですけど、仲良いっていうほどじゃなくって……!」

「そんな顔で否定されると、余計に怪しく聞こえるんだけど」

「本当です! 嘘じゃありません……!」

「……誘われてるライブには行くの?」

「行かないです!」

穏やかな声で微笑んでいるのに、言葉のひとつひとつが妙にゆっくりで、目の奥が笑っていない。

洸くんから滲み出る謎の圧にたじろぎながら、私は必死で首をぶんぶん横に振った。

「……良かった。行くって言ったらどうしようかと思った」

私がハッキリ「行かない」と言い切ると、洸くんはホッとした声でそう言って私の体をギューッときつく抱きしめた。

 ……ええっ!? この洸くんの様子って、も、もしかして……焼きもち? そんな、まさか、洸くんが――!?

信じられない思いで私は目をパチクリする。

「……はぁ、遥香が他の男と連絡取ってるだけで、こんなに嫉妬するなんて思わなかった」

「洸、くん……?」

「心狭くて申し訳ないけど……遥香、できれば今後もプライベートで異性と2人で会うのはやめてくれない?」

「は、はい、分かりました……!」

独占欲を隠しもしない言葉に私はびっくりしつつ、同時に胸を甘くときめかせる。

恋人に嫉妬された時、こんなに嬉しい気持ちになるなんて今初めて知った。

行動を制限されるのだって全然嫌じゃない。

洸くんにならもっと束縛されてもいいとさえ思ってしまう。
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