初恋の続きはトキメキとともに。
そもそも洸くんが私を束縛する必要はない。

 ……だって、昔も今も、私の目に映るのは洸くんだけだから。

それに……

「……そんなに心配する必要、ないですよ? 誰も私のことなんて見向きもしないですから」

洸くんの過去の彼女はすごく美人でモテる人だった。

だから、異性関係で気を揉むことも多かったのかもしれない。

でも、私に関してはその心配は皆無だと、自信を持って言える。

この会話のキッカケになった結城くんについてだって、たまたまソラリスのことを知らせてくれただけである。

「……それ、本気で言ってる?」

「? はい、もちろん」

「へぇ、じゃあ俺は? 俺は遥香に惹かれて、今こうしてるんだけど?」

「そ、それは……!」

もっともな返しをされ、私は思わず口ごもった。

確かに洸くんの指摘は正しい。

だけど、私だっていまだに恋人として洸くんの隣にいるのは奇跡だと思っているから咄嗟に答えが返せない。

すると、ほんの一瞬、私の背に回る洸くんの腕の力が緩んだかと思うと……

次の瞬間、後頭部をグイッと引き寄せられ、噛み付くように唇を塞がれた。

「んっ」

この前の優しいキスとは全然違う。

ぬるりとした舌が我が物顔で侵入してきて、口の奥まで暴くように探ってくる。

呼吸のリズムが乱れて、息が上手く吸えずに胸が詰まった。

だけど苦しいはずなのに、お互いの吐息が重なって、熱が高まるほどにもっと近づきたくなる。

 ……なに、このキス! 気持ち良すぎて、あ、頭がおかしくなっちゃう……!

荒々しくも艶かしい口づけに翻弄され、体からは力が抜けていく。頭がぼんやりとしてきた。

私が無意識のうちに目をとろんとさせ始めた頃、ようやく洸くんは唇を離した。

そして、熱のこもった瞳で私を見据える。

「……遥香はさ、自覚が足りないのかもね」

「えっ……?」

「何年も恋愛から一線引いてた俺が思わず本気になってしまうほど魅力的なのに。……今だってこのまま押し倒してしまいたいって俺が必死に耐えてるの分かってる? 遥香が可愛いからだよ」

甘さの混じった柔らかな声でそう言われ、私の胸の鼓動は大きく飛び跳ねた。

 ……ええっ! あの広瀬先輩が私のことを可愛いって言った……? し、しかも押し倒したいって、それって、つまり……!?  

いい歳した大人の男女が付き合っているのだから、キス以上のことだって当然想定内。

私もいずれはそういう展開もありうるかもと覚悟はしていた。

でも、いざその状況になってみると、やはり驚きが勝る。
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