初恋の続きはトキメキとともに。
ケーキ以上に糖度をたっぷりと含んだ眼差しと言葉に、思わず胸をズキュンと撃ち抜かれ、心臓が破裂しそうになる。

この数ヶ月で洸くんの隣にいることに慣れてきたけど、やっぱり長年憧れていた初恋の人の甘い言動には、いつまで経っても耐性なんてできない。

ドキドキと胸が高鳴り、翻弄されっぱなしだ。

今宵もまた、彼は私をさらなるトキメキ沼へと引き摺り込む。

「そうそう、せっかくのクリスマスだから、今日は遥香にプレゼントを用意したんだ。これなんだけど」

そう言って洸くんはラッピングされた箱を取り出し、私へと差し出してきた。

恭しい手つきでそっと受け取り、「開けてみて」と促され、私は中身を確認する。

箱を開けると、そこにはマグカップとルームシューズが入っていた。

「どちらも可愛いです。ありがとうございます!」

「その2つは俺の家専用ね? ここで使って、ここに置いていって欲しい」

「えっ……?」

「……遥香ってさ、俺の家に来ると、いつも忘れ物がないかしっかり確認して、何も荷物を残さず帰るでしょ? もう何度もここに来てるのに、何一つ遥香の痕跡がないのは寂しいなと思って。歯ブラシとか家着とか、遠慮せずに荷物は置いていけばいいのに」

 ……気づいてたんだ。

私はプレゼントの箱を握り締め、洸くんから少し視線を逸らす。

すべては洸くんの指摘通りだった。

間違っているのは“遠慮”という1点のみ。

真実を明かすと、私はこれまで“意識的に”痕跡を残さないようにしてきた。

 ……だって、この関係はいつか終わるもの。その時に備えて深入りしすぎず、いつその時を迎えても大丈夫なようにしておかないと。

そう、すべては終わりに備えて心にブレーキをかけた結果だった。

「遥香のものが家に増えるのは、俺にとっても嬉しいことだよ。付き合ってるんだから、ここも遥香の場所だと思って遠慮しなくていいからね?」

「は、い……」

「そうは言っても遥香は遠慮しそうだから、これも渡しておく」

プレゼントに続いて、今度は小さな何かを片手に握らされた。

ひんやりとした金属の感触が手のひらに広がる。
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