幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「もしかして洸、好きな人でもできたの?」
「そんなわけないだろ。俺は……っ」
声を荒らげた彼と、そこで初めて目が合った。熱を孕んだ瞳が、私の姿を映して揺れる。
見つめられているだけで胸が詰まるような、真剣な眼差し……。
「俺は、いつだってたったひとりの大切な人のために生きてる」
話しながら、洸が目の前まで歩み寄ってくる。
私は彼の視線に囚われてしまったかのようにその場から動けず、耳の奥で鼓動が暴れる音を、ただ聞いていた。
「だから、美葉も浮気はダメだ」
言い聞かせるようにそう言った彼が、私の背中を引き寄せてギュッと抱きしめる。
今、美葉〝も〟って言ったよね……。
つまり、洸も浮気はしないということだ。……たったひとりの大切な人のために。
それって……。
彼の言わんとすることをなんとなく察しつつも、まだ半信半疑なために言葉で確かめる勇気が出なかった。
ここまで期待してもしも勘違いだったら、オペ中に『みよちゃん』と呼ばれるより恥ずかしい。
「……わかった」
元から浮気なんてするつもりはないので、洸の腕の中でとりあえず頷いておく。
すると洸が子どもを褒めるようにに私の頭をよしよしと撫で、それからスッと体を離した。