幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家

「なんでそう思うの?」
「実の兄に対して嫉妬剥き出しって、どんだけ美葉への愛が深いんだよって、親父と飯食いながら話してた。ほら、帰国したばかりの時、病院で会っただろ」

 それって、一週間前の……。

 あれって、章くんたちには洸が嫉妬しているように見えていたの?

「あの時の洸の態度は私も気になってたんだけど……私の知らない兄弟ならではの微妙な確執があるんじゃないの? ほら、病院を継ぐ話とかもしてたし」

 慌ててそう聞いてみたものの、章くんは心底おかしそうに噴き出した。

「確執なんてないない。洸はただ、美葉に近づく男は誰であれ許せないだけだろ」
「ええ? まさか」
「なんでそんなに自信なさげなの? やっぱりお互いオペばっかりで、結婚生活にすれ違いが多いとか?」

 心配そうな章くんに顔を覗き込まれ、ハッとする。

 洸の愛情を疑うような態度を、なにも知らない第三者の前で取るのはまずい。きちんと愛し合っているように振舞わなくては。

「そういうのは全然平気! ラブラブです! 私たち」
「お、開き直った。甘ったれの弟だけど、末永く面倒見てやって」
「了解です、お義兄様」
「あははっ、慣れないなそれ」

 本当の結婚生活をごまかすことに成功し、すっかり安堵しながら章くんと笑い合う。

 しかし、彼との話の中でいくつか洸に関して気になる話があったため、隣にいるのは章くんなのに、私の意識はここにいない洸の方へと勝手に飛んでいた。

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