幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
理想の男と、本当の俺と――side洸
最近の俺は、理想の男性像からどんどん遠ざかっている。そんな自覚があったため、このところ反省しきりだった。
とくに美葉とグランピングに出かけて以降、その傾向が顕著だ。
あの日、先に眠ってしまった美葉の寝顔のかわいさに吸い寄せられるように彼女のベッドに近づいた俺は、ベッドの傍らに跪きしばらく美葉の顔を眺めていた。
かわいい。大好き。本当は思い切りそう伝えて、抱きしめてしまいたい。
このふっくらとして美味しそうな唇に、キスだって、したい……。
もちろん思いついただけで実行はしなかったが、彼女のそばにいるとどんどん見るだけでは物足りなくなってきて――。
『ごめん。隣で寝るだけ、だから……』
そう言って彼女の前でぱちんと手を合わせ、ベッドの中にお邪魔した。
美葉の香りで充満したそこは、まるで天国。ほんの出来心で寄り添ったが最後、隣で寝るだけで我慢するのは不可能だった。
いつかそうしたいと願っていたように、手を伸ばして彼女を後ろから抱きしめる。
しかし、さすがに少しの間だけにするつもりだった。美葉の意識がない時に触れるなんて罪悪感もあったし、長く触れていたらさらに邪な気持ちまで湧いてしまいそうだったから。