幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家

 大股でつかつかと歩みを進めていくと、先に気づいて顔を上げたのは美葉だった。

「あれ? 洸……先生」

 続けて兄も俺の姿を捉えたが、その口元が微笑を浮かべたので、内心わなわなと震える。

 そういう余裕たっぷりの態度が、俺のコンプレックスをちくちくと刺激するのだ。

「俺に許可なく美葉と食事していいと思ってるのか?」

 苛立ちを隠すことなくそう口にすると、兄はますますにんまりと笑う。なにをおもしろがっているのか知らないが、とても不愉快な笑顔だ。

「ほらね、美葉。さっき言ってたの、これだよ」

 そして、意味深に美葉の顔を覗いてそんなことを口にする。美葉はというと、兄の言葉に頬を染め、焦ったように口元に人差し指を立てた。

 ……なんだ、その反応は。

「章くん。本人の前でその話は……っ」
「ごめん。ついからかいたくなって」

 俺の知らない話で盛り上がるふたりを見ていることに我慢ならなくなり、俺はベンチに座る彼らの間に無理やり割り込み、ドカッと腰を下ろした。

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