幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「わ」
「狭っ」
彼らは少し迷惑そうな声を上げたが、俺は構わず兄を睨みつける。
「美葉は俺のだ」
威嚇するようにそう言って、兄の反応を待つ。
相手は美葉の理想のタイプそのもの。手ごわすぎる敵ではあるが、もしも応戦してくるなら、正々堂々戦うつもりだ。
「洸」
「なんだよ」
「それは俺じゃなく、美葉に言うべきことじゃないの? 美葉、なんだか不安みたいだよ。俺の勘違いじゃなければ」
「……えっ?」
思わずパッと美葉の方を振り向く。急に話を振られた彼女は、真っ赤な顔で困ったように俺を見つめ、けれどすぐに目を逸らしてしまった。
「わ、私、先に仕事戻るから……!」
ベンチに広げていた食べ物やそのゴミをまとめ、美葉が小走りで屋上の出入り口へ向かっていく。
否定……しなかった。つまり、美葉は俺との結婚生活になにか不安が……?
「お前たち、昔から仲が良かったのにどうして今さら拗らせてるんだ?」
「……兄貴には関係ない」
俺はそっけなく吐き捨て、ベンチから腰を上げる。美葉を不安がらせたことも、そんな彼女の気持ちに先に気づいたのが兄だというのもショックだった。