幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
抵抗されなかったのをいいことにたっぷり長い間唇を合わせた後、名残惜しくも一度唇を離す。すると美葉が少し苦しそうに呼吸をしていたので、俺は今さら慌ててしまう。
彼女への気遣いを忘れ、自分の欲求を強引にぶつけてしまった……。
「ごめん。断りもなく」
「ううん、びっくりはしたけど……平気」
嫌がられてはいないようでホッとするが、次々と反省の念が湧いてくる。
本当はクールな男が好きなはずの美葉がせっかく俺に好意を持ち始めてくれているのに、今のキスときたら、クールどころか感情丸出し。
もっとスマートに、美葉の方が後ろ髪を引かれるくらいの振る舞いがしたいのに、またしても取るべき行動を間違えた。
「俺、もっと努力するから……もう少し待っててほしい」
気がつけば、俺はそう口走っていた。
これまでも、彼女に釣り合う男になるよう何年も努力してきたのだ。それでもまだ足りないなら、精進あるのみだ。
「えっ? 待つって?」
「近くにいすぎるからダメなんだ。俺、今夜から病院に寝泊まりするよ」
まっすぐ彼女を見つめて告げる。今の俺に必要なのは、冷静になれる環境だ。