幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
ちなみにMVPとは、心臓血管外科が担当する外科手術のひとつ。心臓にある四つの弁のうち、左心房と左心室の間にある僧帽弁がうまく働くなってしまった患者さんに施される手術だ。
人工心肺装置を使って心臓の動きを止め、弁の修復を行う。患者さんの状態にもよるけれど、危険度はそれほど高くない。
私たち麻酔科医は、術中、術後共に血圧を低めにコントロールするのが大切になる。
「水曜日の午前でしたよね? MVPは何度も経験がありますので大丈夫です」
麻酔科専門医になるためには、初期研修後の四年間で六百の症例を経験しなければならないなど、厳しいプログラムが組まれている。
だから、認定を取ったばかりでまだひよっこの私でも、ある程度オペの経験は積んでいるのだ。
「ありがとう! 助かるわ~。ちなみに院長の息子がさっそく執刀するらしいよ。お手並み拝見ってとこだな」
「えっ。……そうなんですね」
洸が執刀するんだ。
いきなり同じチームで仕事をするのは緊張するけれど、大学病院で頑張ってきた洸が、どれほどすごい外科医に成長しているのかを見るのが楽しみでもある。