幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「それじゃ、シフト調整しとくからよろしく。お疲れさま」
「了解です。お先に失礼します」
八家先生に挨拶し、病院を出る。
帰り道の途中には先日洸と寄った公園があり、あの時開花したばかりだった桜が満開になっていた。
すでに辺りは暗いけれど、公園の明かりに照らされた桜はふんわりと白く光っている。
「ずっと綺麗なままでいられたらいいんだけどね……」
すぐに散ってしまう桜の花に自分の女としての寿命を重ね合わせ、遠い目をしながら呟く。あと何年すれば、一生独り身でいいやと開き直れるのかな。
人の魅力は年齢で決まるわけではないけれど、できれば若いうちに素敵な恋がしてみたい――。
十代の頃から進歩のない願いを抱く自分に軽く同情しつつ、こんな私でも温かく迎えてくれる家族の待つマンションへと歩みを進めた。
「ただいまー」
鍵を開けて玄関に入ると、家の中はひっそりと静まり返っていた。両親ともに、どこかに出かけているようだ。
内科医の父と看護師の母は近所でクリニックを経営しているけれど、木曜日の今日は休診日。普段なら家でのんびりしていることが多いのに。
とりあえず廊下に上がったところで、バッグに入れていたスマホが鳴った。取り出してみると、母からメッセージと画像が届いていた。