幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「だいたい、そんなにお前が美葉の好みとかけ離れてるんなら、そもそも結婚したいと思わないだろう、美葉だって」
「いや……俺たち、普通の結婚じゃなくて友情結婚だから」
「友情結婚?」
兄がきょとんと目を丸くする。説明が必要なようだったので、俺はスマホを取り出すと、以前美葉にもメッセージで送った友情結婚に関するインターネット記事を見せた。
兄は納得した様子で何度か頷き、俺にスマホを返す。
「なるほど。お前たちが拗らせてる原因はこれか」
兄の言葉には呆れたような溜息が混じっていた。
「先に言い出したのは俺だ。美葉の結婚願望が強いのはわかってたから、彼女を囲い込むための口実として、友情結婚という言葉を使った」
「じゃあ、お前が素直になればいいだけじゃないか」
カウンターに肘をついた兄が、俺を見つめて事もなげに言う。どういう意味なのか測りかね、俺は眉根を寄せた。
「素直って……心の声を全部漏らせってことか?」
「ああ。昔はしてただろ」
「いや、そうだけど……」
それでは、せっかく努力して身に着けたクールなキャラが台無しだ。最近はもう、クールなのかどうか怪しくなりつつはあったが……。