幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家

 どうしよう……。今、すっごく洸に会いたい。

 今の彼は〝修行中〟と言い張って病院に寝泊まりし、マンションには二週間ほど帰っていない。私から『帰ってきてほしい』と言ったら迷惑かな……。

「出会いを欲しがってて美葉にはちょっと罪悪感あったけど、彼と無事ゴールインした話を聞いてホッとした。ホントにおめでと、美葉」

 しみじみと祝福してくれる友人の言葉に、ハッと我に返る。

 せっかく遠方からやってきてくれた友人と会っているのに、洸のことばかり考えていたら失礼だ。洸とは病院でも会えるし、会えなかったらこっちから連絡すればいい。

「ありがとう、紀佳。今日、会えてよかった」
「こっちこそ。あ、主役のピザきたよ。温かいうちに食べなきゃ」

 ウエイターが大きな皿を運んできて、テーブルに置く。魚介類とキノコがのった、具沢山のピザだ。

「病院だと冷たいご飯ばっかりだし、私料理苦手だからこういうの久しぶり~」
「麻酔科も忙しそうだもんね。うちの先生なんかさ、奥さんが作ってくれたお弁当にポットのお湯注いで、お茶づけみたいにして食べるんだよ。その方が速く食べられるからって」
「あ~……奥様には悪いけど、気持ちわかる」
「食事ってか、栄養補給できればなんでもいいんだよね」

 結婚の話題が一段落すると、今度は医者あるあるで盛り上がる。

 その後も焼きたてのピザに舌鼓を打ちながら、私は紀佳と楽しい時間を過ごした。

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