幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
その上、駐車場で車を降りた瞬間から当然のように手を握られるし、時折わけもなく甘い目で見つめられるしで、心臓は暴れまくりだ。
「……ねえ、どうして急にデートに誘ってくれたの? 前にグランピングにも行ったけど、あれは私を心配してついてきてくれたって感じだったでしょう?」
建物の外から水族館へと続く、下りのエスカレーターを降りながら後ろに立つ洸に尋ねる。手すりに掴まる私の手には、相変わらず洸の手が重なっている。
「本当はずっと誘いたかったのに、我慢してたんだ。でも、もう我慢はやめた」
「やめたって?」
「俺のしたいようにするってことだよ。みよちゃん」
「えっ、その呼び方……」
「これも、我慢してたことのひとつ」
いったいどういうことだろう。困惑して目を瞬かせる私を見て、洸はクスクス笑っている。
エスカレーターが展示のフロアに到着すると、水族館らしい、薄暗くて幻想的な光景が広がっていた。多少混雑しているが、ゆっくり見るにはちょうどいいくらいだ。
「俺たちが高校三年になってわりとすぐの頃さ」
サンゴ礁の海を水槽に閉じ込めた展示の前で、洸が話し出す。その瞳は色とりどりの魚を映していて、とても綺麗だ。