幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「洸もオペで一緒になったことあるかもだけど、こちら、専攻医の竜崎先生」
「ああ、麻酔科の。こんにちは」
「どうも。……あの、知り合いが近くにいるとやりにくいですよね。俺、中に行きますんで」
竜崎先生が気を利かせたように言ってくれる。絶対さっきのシーンを見られたせいだけど、正直ありがたい……。
「なんかゴメンね。あのさ、ちなみに今日私たちがここにいたことは内密に……特に八家先生には」
「了解っす。じゃ、失礼しま――」
「ねえ、ソフトクリーム売り切れだったよ竜崎。なんか他の選ばないと……って」
竜崎先生の連れであろう女性が、彼にそう話しかけながら私たちの存在に気づく。
しかもまたしても同僚の顔だったので、今日は厄日なの?と内心泣きたくなる。
「こ、こんにちは」
「洸先生と雪村先生……なによ竜崎、もしかしてふたりが来るの知ってて私を水族館に誘ったの?」
みるみるうちに表情を険しくした小森さんが、竜崎先生を睨みつける。
「いや、違うって。これはホント偶然」
「どっちにしろ最悪。楽しむ気失せた。……私、帰る」
小森さんは吐き捨てるようにそう言って、くるりと踵を返す。
彼女の不機嫌にはどうやら私と洸の存在も関係ありそうで、こちらまでハラハラしてしまう。