幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
お腹を満たした後は、日が傾くまで夫婦で臨海公園を散策した。
夜は海が見えるホテルでのディナーを洸が予約してくれていたので、そこへ向かうまでの道中、私は助手席で辺りの景色を楽しむ。
海沿いの景色が段々と夕暮れの表情に変わり、キラキラとオレンジ色に輝きだす。
……夕食を食べたら、デートももう終わりだ。
隣にいる人は夫でこれから同じ家に帰るというのに、ふいに切なさがこみ上げる。
「美葉、大丈夫? 元気のない顔してるけど」
運転席の洸が、気遣うように言った。さすがは長年一緒にいる幼なじみ。表情の変化には敏感だ。
「ごめん、全然大丈夫。デートが楽しかったから、もう終わっちゃうんだなーって寂しく思ってただけ。元気はあるよ」
「じゃあ、今夜はそのままホテルに泊まる?」
「えっ?」
まさかの提案に、呆然として固まる。泊まりならグランピングの時も経験しているけれど、あの時と今とではその言葉の持つ重みが全く違っている。
「それって……あの、その」
「緊張するのはわかる。でも、俺たちは友情結婚をやめたんだ。愛し合うのはなにもおかしいことじゃないだろ」
〝愛し合う〟だなんてロマンチックな表現に、全身がかぁっと熱くなる。