幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
私たちはキスだってまだ二回しかしたことがないし、そのうち一回は、寝ている洸の唇を私が勝手に奪っただけ。
もちろん、その記憶は墓場まで持っていくつもりだ。
「ご飯、食べながら考える……でもいい?」
「もちろん。美葉が嫌ならまっすぐ帰って、ちゃんと別々に寝る」
「ごめんね……。ありがと」
三十一にもなって恥ずかしいけれど、医者になるための勉強しかしてこなかったから、私はそっち方面に関してあまりにも無知だ。
洸なら優しくしてくれるかな。してくれるよね。思い切って身を委ねてしまいたいけれど、彼の片思い歴の長さを考えると、私との一夜に幻想のようなものを抱いていそうで、少し不安だ。
がっかりさせたくはないけれど、処女なのは動かしようのない事実だし、痩せても太ってもいない自分の体形にも自信なんてまったくないし……。
そこからはもう外の景色なんて眺めている余裕はなくなって、緊張と不安と期待とが入れ替わり立ち替わり私の胸をかき乱した。