幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
洸の手がくいっと私の顎を掴んで、至近距離で瞳を覗かれる。昔はあんなにかわいかったのに、今の洸は完全に大人の男の人。
そのギャップに翻弄されて、気がついたらこんなに彼に夢中になってしまった。
「……いいよ」
「えっ?」
「だから、食べていいよって」
先に誘うようなことを言ってきたのは洸なのに、私の顔からスッと手を離して戸惑ったように瞳を揺らす洸。
「本当に? ……まだ酔ってない?」
完全にお酒が抜けたとは言い難いけれど、泥酔しているわけではない。
今思えば、お酒に逃げてしまった理由も、断るつもりがなかったからこそ緊張をほぐしたかったんだと思う。
「前に洸が言ってたんじゃない。酔ってる時に出る言葉は本音だと思うって」
一緒に出席した結婚式の帰り道。あの時、酔った勢いで『結婚したい』と言った私の言葉に対して、後から洸にメッセージでそう指摘された。
「その時、図星を指されたようでドキッとしちゃった。だから、今こうして夫婦やってるんだよ」
私はそう言うと、照れ隠しのつもりで、洸の胸にこつんと額を預ける。そして、微かに顔を上げて彼を見つめた。
「昼間は人のいる場所だったからちゃんと言えなかったけど、私、洸が好きだよ。それに、もっと好きになりたいと思ってる」
「美葉……」