幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家

 ふたりのいた場所をちら、と覗くと、竜崎先生が肩を落としていた。

 俺は彼の哀愁漂う背中に歩み寄ると、ポンと肩に手を置いた。

「洸先生。まさか今の話……っ」
「悪いけど聞いてた。きみもなかなかつらい恋をしてるみたいだな」

 竜崎先生が気まずそうな笑みを浮かべて頭を掻く。それでも否定しないところを見ると、小森さんへの気持ちは本物なのだろう。

「……ええまぁ。でも俺〝も〟って?」
「ああ俺、雪村先生には子どもの頃から片想いしてて、それがやっっっと報われたところだからさ」
「へえ……」

 力説すると、意外そうな顔をされた。

 病院で一度『みよちゃん』と口にしてしまうトラブルはあったが、それ以外の場面では終始クールに振舞っていたのが効いているようだ。

「だから他の女性は目に入らないんだ。もちろん小森さんも」
「洸先生がそんな感じなのでありがたいです。……たぶん小森の気持ちって、恋愛とは少し違うと思うから」
「恋愛とは違う?」

 聞き返すと、竜崎先生が頷く。いったいどういう意味だろう。

< 164 / 204 >

この作品をシェア

pagetop