幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
ふたりのいた場所をちら、と覗くと、竜崎先生が肩を落としていた。
俺は彼の哀愁漂う背中に歩み寄ると、ポンと肩に手を置いた。
「洸先生。まさか今の話……っ」
「悪いけど聞いてた。きみもなかなかつらい恋をしてるみたいだな」
竜崎先生が気まずそうな笑みを浮かべて頭を掻く。それでも否定しないところを見ると、小森さんへの気持ちは本物なのだろう。
「……ええまぁ。でも俺〝も〟って?」
「ああ俺、雪村先生には子どもの頃から片想いしてて、それがやっっっと報われたところだからさ」
「へえ……」
力説すると、意外そうな顔をされた。
病院で一度『みよちゃん』と口にしてしまうトラブルはあったが、それ以外の場面では終始クールに振舞っていたのが効いているようだ。
「だから他の女性は目に入らないんだ。もちろん小森さんも」
「洸先生がそんな感じなのでありがたいです。……たぶん小森の気持ちって、恋愛とは少し違うと思うから」
「恋愛とは違う?」
聞き返すと、竜崎先生が頷く。いったいどういう意味だろう。