幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「せっかくだから、誓いのキス練習しとく?」
「……キスしたいだけでしょ」
「バレたか」
笑ってごまかし、それ以上なにか言われる前に彼女の唇をキスで塞いでしまう。
「もう……」
仕方ないんだから、と言いたげな声を漏らしているが、彼女の方もまんざらではなさそうで、蕩けた目をしている。
見つめていたら一度では我慢できなくなって、またキスしたら今度はその先に進みたくなって、唇を吸いながら美葉の体に触れる。
「ん、洸……寝ないの?」
「あと一回だけ美葉を抱いたら寝る」
「本当に一回?」
「……たぶん」
まったく信用できない俺の返事を聞いて、美葉は再び呆れたように『もう……』と言いつつ、俺の愛撫を受け入れて甘い吐息をこぼし始めた。
梅雨らしく雨の天気が続いていたある平日。
昼休みを迎えた心臓血管外科のオフィスで昼食はなにを食べようかと考えていると、兄が俺のもとへやってきた。兄もすっかり、同じ診療科のメンバーとして定着している。
俺と美葉が無事に結ばれたことも報告済みだが、最初からわかっていたという感じで「よかったな」と言われただけ。
慌てず騒がず、必要な時に手を差し伸べてくれる大人な兄には、一生敵いそうにない。