幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
お手本にされてるよ、洸。と、心の中で彼に呼びかけ、ひとりで微笑ましい気持ちになる。
思えば洸の片思い歴イコールほぼ生きた年数と同じだから、その恋は三十年物。もはやヴィンテージだ。
相思相愛となった今、私もその特別貴重な感情を彼と共有するようになったわけだから、宝物のように大切に磨いて、一緒に価値を高めていきたい。
「じゃあ俺、先に戻ります」
「午後イチのオペに入るんだっけ。頑張ってね」
「うっす」
頼もしく頷いた彼を見送り、私も午後の回診に向けて食事のスピードを上げる。
めきめき成長している竜崎先生に追い抜かれないように、私も頑張らないと。
その日洸は夜勤だったので、私が帰る頃に出勤だった。帰っても誰もいないのか……と肩を落としつつ帰り支度をして廊下に出ると、意外な人物が私を待ち伏せしていた。
「小森さん……どうしたの? 麻酔科になにかご用?」
今日はお母様の付き添いではなく勤務日だったようで、見慣れた制服姿。
だから仕事の用事だと思い込んでそう聞いたものの、彼女は私の顔をジッと見つめた後、勢いよく頭を下げた。