幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家

「私だってそんなにできた人間じゃないけど、そう見えるんだとしたら、洸先生のおかげ」

 ちょっぴり惚気になってしまうけれど、真実なのでそう告げた。

 彼と一緒にいると、私って愛されてる? なんて不安になることがない。というか、むしろ愛されてる自覚しかない。

 今でも夫婦ふたりだけの時間にわざと『みよちゃん』と呼んで甘えてきたり、一度『好き』と口にしたら止まらなくなって、呼吸するように『ああ好き』『かわいい』『どうしよう』とか言って、ひとりで悶えている時もある。

 オペの最中にまたそっちの顔が出やしないかと、時々心配になるくらいだ。

「羨ましいです。私もそんな風に愛されてみたい」

 ため息交じりに呟く小森さん。思わず、彼女を大切に想っている身近な人物の顔が頭に浮かんだ。

「愛されてるじゃない、今でも十分。竜崎先生に」
「えっ。アイツはそのなんていうか……この病院に来た時期が一緒で、年も近いってだけで」

 竜崎先生の名を出したら、途端に慌てだす小森さん。一応彼を男性として意識はしているみたいだ。

「彼の方はそうじゃないみたいだけど?」
「わ、わかってます。……ちゃんとします、そのうち」

 小森さんはすっかり真っ赤になって俯いてしまった。からかいすぎたかなと思いつつも、竜崎先生にも望みがありそうで微笑ましい気持ちになった。

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