幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
梅雨が明けて夏が来ると、私と洸は本格的に結婚式の準備を始めた。
式場を探しているエリアの中でいくつか気になった会場のウエディングフェアに出かけ、最終的に日本有数のホテル企業『八束グループ』のラグジュアリーホテルで、気候の安定した十一月に式を挙げることに決めた。
「あぁ……それもいいね。キープ」
スマホをかざして私の姿をカメラに収める洸が、うっとり呟いた。
休日を使って洸とホテルを訪れた私は今、花嫁衣装の試着中。
豪華で広々とした衣裳部屋にはホテルが独自に買い付けたインポートドレスが揃い、まるでお姫様になったような気分を味わえる。
「またキープ? ねえ、最終的に選ぶの、三着だよ?」
「やっぱりお色直し五回にしない?」
「しません!」
私たちのやり取りを、ホテルのスタッフもクスクス笑っている。
ドレス選びが難航することはなんとなく予想していたので長めの時間で予約を取っっていたけれど、それでも洸は欲張りすぎである。
ひと通りの試着を終えた頃にはすっかりクタクタで、自分の私服が羽根のように軽く感じた。
当日着るドレスは今日決定せずとも後で連絡すればいいらしく、じっくり検討するのは家に帰ってからにしようと洸と相談した。