幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「やっぱり、まだ好きなんですね」
お互いの父親に連れられてカウンターのお寿司屋さんに行った時も、洸はいつもイクラばっかり食べていた。見た目も中身もずいぶん大人になったと思っていたけれど、変わっていないところもあるんだな。
なんだか懐かしくて胸がほっこりする。
「好きなものはそう簡単に変わらないだろ」
洸は少し照れくさそうな顔で、おにぎりにかぶりつく。
「だね。……じゃなくて、そうですね」
「別に休憩中まで他人行儀にしなくていいけど」
「そうかもしれないけど、病院ではちゃんとしておかないとオペの最中とかにも洸って呼んじゃいそうだし」
「……それは困るな」
軽く眉を顰める洸。幼なじみと仕事をするなんてやりづらいと、その顔に書いてあるようだった。
「でしょう? あ、でも、明後日のオペでご一緒する時はちゃんとしますから心配しないでくださいね」
「ああ」
そっけなく言って、あっという間にひとつ目のおにぎりを完食した洸。私が残りのおにぎりを勧めると、遠慮がちにもうひとつ手に取った。