幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
『洸、ブランコやろ!』
元気な男の子の声がしたと思ったら、画面の端から子どもの頃の章くんが走ってくる。
たぶん、六~七歳の頃の彼だ。続けて、気が進まない様子の洸が、とことこ歩いてくる。
『ぼく、いい……』
『えー、じゃあ、美葉一緒にやろ』
『いいよー』
声と共に小さな私も現れて、章くんと隣同士でブランコを漕ぎ始める。洸と私は四歳くらいだろうけれど、私の方が背が高く、顔もなんだか大人びている。
私と章くんを映していたカメラが、ブランコの柵の外で立ち尽くしている洸を映すと、洸はなんとも言えない羨ましそうな顔をして、私と章くんを見ている。
下唇をつき出して、ちょっと拗ねているようにも見える。この頃の洸はとにかくかわいい。
『こう、やりたい? じゅんばんする?』
漕ぐのに飽きたらしい私が、そう言ってブランコを降りる。小さな洸はぱぁっと笑顔になって、こくんと頷いた。
そのまま早足で歩き、ブランコの方へ。そばで私が見守る中、鎖に手をかけてお尻からブランコに乗ろうとして――ずる、とお尻が滑ってそのまま地面に尻餅をつく。
少し遅れて、揺れたブランコが洸の後頭部にごつんと当たった。
途端にくしゃっと顔をゆがめた洸は、火が付いたように泣き出す。