幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
『えー、今日は、高比良家と雪村家でキャンプです』
院長の声がそう説明し、周囲の自然を写す。私は視線を映像に向けたまま隣の洸にこそっと耳打ちした。
「ねえ、キャンプってもしかして……洸が魚のつかみ取りで泣いたあの時の?」
返事がないので不思議に思い、洸の顔を見る。
すると、今にも泣き出しそうに真っ赤な目をして、口元を手で覆っていた。
「こ、洸? 大丈夫?」
「いや、大丈夫じゃない。こんな風に俺と美葉との思い出をなぞられて……感動するなって言う方が無理だろ。俺、さっき一度見てるのにな……兄貴に『耐性つけとけ』って言われて」
そういえば、式が始まる前にも洸は泣いていた。兄貴にやられた――って、この動画のことだったんだ。
「本当に、こんなに小さな頃からずっと私を想ってくれてたんだね……」
そう言って、洸にハンカチを手渡す。軽く涙を拭った洸は、子どもの頃の洸と面影を残した顔で、こくんと頷いた。
「そうだよ。だから、今日は俺の片思いの集大成」
「……ホントだね。幸せになろうね、洸」
「ああ」
私たちがしみじみ語り合っている間に、映像は例のシーンに差し掛かる。
院長がバケツの中から一匹の魚を洸に手渡し、洸の手の中でぴちぴちと暴れた魚に、洸は驚いて――。