幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「貧血って聞いたけど、具合は?」
「すこし怠いけど大丈夫。仕事は? 抜けて平気なの?」
「オペは終わったし、美葉が心配で他の雑用は手につかないから先にこっち来た。血液検査の結果は? 貧血以外に心配なものはなかった?」
矢継ぎ早に質問してくる彼から、私の身を心から案じている気持ちが伝わり、胸に愛しい気持ちが満ちていく。
彼の子どもを授かることができて、私、本当に幸せだ――。
「洸、私ね……妊娠してる」
「えっ?」
洸が一瞬ぽかんとした表情になる。これまで散々私を愛し、その証を私の中に注ぎ込んできたくせに、心当たりがないはずはないだろう。
「それで貧血になっちゃったみたい。病気ではないから、本当はこんなところに入院しなくても大丈夫なんだけど――」
「美葉……! やったな!」
ようやく実感したらしい洸が、突然ベッドのすぐ近くまで歩み寄ってきて、ガバッと抱きついてくる。背中に回された腕の力強さが彼の喜びを物語っているようで、私の中にも改めて嬉しさがこみ上げる。
「うん。洸と結婚してから色々な幸せを体験してきたけど、なんだか初めての感覚。私、すごくワクワクしてる」
「無理だけはしないでくれよ。仕事を頑張りたい気持ちもあると思うけど、赤ちゃんと美葉の健康が第一だ。できる限り俺もサポートするから」
ポン、と頭の上に彼の手がのって、優しく撫でられる。