幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家

 心暖のお世話以外、取り立てて体力を使うようなことはしていないはずなのだけれど、夜間授乳による睡眠不足がたたっているらしい。

 仕事で寝られない時とはまったく違う疲労で、心暖のお世話以外は横になってばかりいる。

「ただいまー」

 夜、洸が帰宅した時も気が付けば私はうとうとしていた。彼の声でハッと目を覚まし、ソファから身を起こす。

「おかえり……ごめん、なんにもできてない」
「なにもってことはないよ。心暖の面倒見ててくれただろ。そのまま寝てていいよ」
「……ありがとう」

 洸の優しい笑顔にホッとして、気だるい体をもう一度横たえる。今日は、とくに調子が悪いみたい。心なしか頭も痛いし。

「心暖……なんか熱いな」

 え……?

 洸の呟きに胸がざわっとして、ベビーベッドの方を見る、洸はベビーベッドのそばに備えてあった赤ちゃん用の体温計を取り、心暖の服を緩めてわきの下に差し入れた。

 私も気になって立ち上がり、ベッドに歩み寄る。ちょうどその時体温計がピピッと音を立て、ふたりでデジタル表示を覗いた。

「三十八度七分……」

 声に出して読み上げた直後、洸が心暖の足に触れた。

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