幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「冷たいな……まだ熱が上がる途中だ」
「嘘、全然気づかなかった」
「昼間、母乳の飲み方はどうだった?」
「いつも通りだった……と思う。機嫌が悪いってこともあんまり……」
話していると私自身が倦怠感を感じてきて、立っているのがつらくなってくる。
すかさず洸の手が額に当てられ、私の体温に見当をつけた洸が、眉根を寄せる。
「美葉も確実に発熱してるな……同じ感染症かもしれない。すぐに病院へ行こう」
発熱……だからこんなに体が重いんだ。
子どもを産む前は風邪ひとつ引かなかったから、自分は体が強い方なんだと過信していた。
マスクを装着し、てきぱきと受診の準備を進める洸を見ながら、その半分以下の速度でしか動けない自分が不甲斐ない。
「ごめんなさい……」
「なんで美葉が謝るんだよ。俺が外から変なウイルス持ってきた可能性だってあるのに」
「ううん、熱のことじゃなくて……なんだか最近、なにもできてないから」
正当に育休を取得しているだけとはいえ、これまでフルタイムで麻酔科医の仕事をしていたので、仕事を休んでいることに罪悪感を覚えないのは難しい。
その上元々家事は得意な方じゃないから、家にいても洸のためにできることは少ない。せめて心暖の育児だけは完璧にこなしたかったのに、あろうことか風邪をひかせちゃうなんて……。