幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「洸先生」
誰かに呼ばれて顔を上げると、ひとりの若い女性看護師がそばにいた。
童顔でショートヘアの彼女のことはどこかで見たことがあるような気もするが、すぐには思い出せない。
「えっと、きみは……」
「いきなりすみません、今日、午前中の手術でご一緒したオペ看の小森と申します」
オペ看……だから見覚えがあったのか。
俺の隣で器械出しをしていた看護師はベテランの看護師長だったはずなので、手術室の準備や患者のフォロー、麻酔介助等を担当する『外回り』の看護師だろう。
「小森さん。……俺になにか用?」
「あのっ。私、今日のオペで先生の技術を拝見してすっかりファンになってしまいました! よかったら個人的に連絡先を教えていただけないでしょうか……?」
小森さんは興奮気味にまくし立て、ぺこりと頭を下げた。
ファン……。その言葉にあまりいい印象のない俺は、内心『またか』と呟く。
実は、大学病院時代にもそういう女性が周囲に何人かいて、あれこれプライベートを詮索してきたり食事に誘ってきたりした。正面から告白されたことも何度かある。