幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
ほとんどの料理を食べ終えてご飯と汁物が出てきた頃、高比良院長が思い出したように口を開く。
「そういえば、章のヤツから連絡がありまして。五月の連休に帰って来た後、しばらくうちの病院で面倒を見ることになりそうです」
章くん、帰ってくるんだ。私が初期研修を終える頃にはもう渡米していたから、彼とはおよそ五年間会っていない。
三つ年上の章くんは昔からずいぶんと大人っぽく見えて、憧れの存在だった。
もっとも恋愛感情ではなく、手の届かない芸能人に憧れるような淡い気持ちだったけれど。
「それは頼もしいですな。アメリカで仕込まれた最先端のオペ技術は、他の先生方も興味があるんじゃないですか? なあ、洸くん」
「……そうですね。色々教えてもらうつもりです」
父の言葉に応える洸は、少し元気がなさそうに見えた。目の前のご飯も全然減っていない。
昨日の彼は土曜出勤でオペが立て込んでいたみたいだから、疲れているのかも。
結婚したいという私の希望を叶えるため、休みの日まで無理をさせてしまってなんだか申し訳ない。