幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
洸の手、大きいし、すごく温かい……。
「……さっきの、嫌だったわけじゃないけど」
ボソッと、洸が話し出す。続きを促すように彼の目を見つめると、彼は私をまっすぐ見つめ返した。
「夫婦らしいのは、こっちかなって」
「洸……」
夫婦らしくしてくれようとするのは、きっと私のためだよね。
それが友情からくる優しさだとわかっていても、素直にうれしかった。
本物の恋愛や結婚とは全然違うのかもしれないけれど、胸がふわふわしてくすぐったい。今まで味わったことがない感覚だ。
手を握り合うだけでこんなに安心するんだっていうことも、久しぶりに思い出した。
洸に手を引かれるまま庭を散歩し、満開となっている八重桜の木のそばまで行って、なにを話すでもなく花を眺める。
その穏やかな空気の中、私はふいに感謝を伝えたくなって、桜から洸の横顔に視線を移す。
「ありがとね、洸」
「……そんなお礼言われるようなことしてないけど」
「してるよ。私、洸と結婚することに決めてよかった」
「美葉……」
綺麗な瞳を揺らし、私の名を呟いた洸。
その視線になぜだか胸が締め付けられるような気分になっていると、洸が私の背中に手を添え、突然抱き寄せてきた。
反射的に、ドキンと胸が鳴る。