幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家

「洸?」
「俺を選んでくれてありがとう。絶対後悔させないから」

 耳のそばで、洸がかすれた声を出す。

 これは、友情のハグだよね……?

 洸があまりに真剣だから、つい自問自答する。

 さっきはくすぐったいと感じた胸の騒がしさが、今は少し苦しいくらいだ。

「そ、そろそろ戻らない? デザート届いてるかも」

 私はそう言って、パッと洸から離れた。これ以上くっついていたら平常心ではいられない気がした。

「……そうだな」

 洸も頷いてくれたのでホッと胸をなでおろす。しかし、並んで歩き出したところで洸が再び当然のように手を繋いだので、個室の前でその手を離すまでの間、結局私は動揺しっぱなしだった。


 次の週末には婚姻届を提出するとともに、両親の協力も得て洸のマンションに私の荷物を運び入れた。

 父が車を出してくれて、実際の引っ越し作業や掃除をみんなで手分けして行った。

 初めてお邪魔したのでびっくりしたけれど、洸の住む部屋はとても広々として豪華だった。とくに目を見張ったのが、夕方両親が帰った後で案内された屋上のジェットバス。

 室内には普通の浴室もあり、気分で使い分けられるらしい。まるでセレブの生活だ。

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