幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
そして、練習は見事に実を結んだ。
『みよちゃんのおかげで合格した~!』
実技テスト当日、今ではお目にかかれない弾けるような笑顔を浮かべた洸が私のクラスまで報告しに来てくれたのを今でも覚えている。
ホントに弟みたいでかわいかったな、あの頃の洸。
懐かしい話をしながら屋上をひとしきり見せてもらった後、リビングに戻るため階段を下りている時だった。
履いていたスリッパが滑って私はうっかり足を踏み外し、危うく落ちそうになる。
「わっ」
反射的にギュッと目を閉じた直後、前を歩いていた洸にとっさに抱き留められる。
「……っぶな。大丈夫?」
私を受け止めてもびくともしない体、逞しい腕。
さっきまで私に手を引かれてバタ足をしていた頃の洸を思い出していたところだったので、大人になった彼のギャップに思わずどきりとした。
パッと体勢を立て直し、こくこく頷く。
「う、うん。ごめんね」
「さっきヒートショックの話してたけど、酔って階段を上り下りするのも危なそうだな」
「だ、だね。心臓なら洸に治してもらえるけど、骨折したら整形行かなきゃだし」
「リハビリも大変だ」
抱き留められたのは一瞬だったし、その後は全然色っぽくない話をしていたのに胸の高鳴りがなかなか収まらない。