幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
いくら幼なじみとはいえ、男性と同居するのって、恋愛初心者の私には結構ハードルが高いんじゃ……?
今さら不安に思っても、引っ越しはすでに完了してしまった。
夫婦生活のない友情結婚だから、寝室はもちろん別。友達同士のルームシェアに近い感覚だろうけれど、それでも初日だから緊張する。
「引っ越しで疲れたし、夕飯は外で食べない?」
ふたりでいったんリビングのソファに落ち着くと、私はそう提案した。
ひとつ屋根の下でふたりきり、という状況をあまり意識しないようにするためだ。
「そうだな。なに食べる?」
「実家からここに来る途中によさそうな中華屋さん見つけたんだけど、そこは?」
「ああ、商店街にある店だろ? 餃子が美味しいところだ。行こう」
少し休憩してから家を出た私たちは、徒歩圏内にある町中華『萬天酒家』を訪れた。
小ぢんまりとして温かみある店内には厨房をぐるりと囲むカウンター席と、テーブル席が窓際に三カ所。
私たちはカウンター席に案内され、壁に貼られたメニューをふたりで眺めた。