幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家

「洸のおすすめは?」
「さっきも言ったけど、餃子と……レバニラもよく食べる」
「いいね。じゃあどっちも食べよう。あと私、クラゲの冷菜とザーサイも」
「完全に飲む気だろ」

 そう言って苦笑した洸は、カウンターの上に置かれていたドリンクメニューを「はい」と手渡してくれる。

「私、レモンサワー。洸は?」
「ハイボール」
「あ、ハイボールもいいね。どうしよ。私もそっちにしようかな~……迷う」
「両方頼めば?」
「えーっ。なんかすっごいお酒好きみたい……」
「誰の目を気にしてるんだよ。ここには俺しか知り合いいないのに」

 ぶっきらぼうな言い方ではあるけれど、洸の声は穏やかだった。

 マンションにいる時は少し気まずかったけれど、こうして他愛のない話をしているといつもの空気感が戻ってきたようで、緊張も段々ほどけてきた。

「よし、決めた」
「どっちに?」
「ウーロンハイにする」
「第三の刺客現るかよ」

 ふたりでクスクス笑いながら、「すいませーん」と店員を呼ぶ。

 注文したお酒がテーブルに届き、私たちは「乾杯」とグラスを合わせた。

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