幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
ガタッと席を立った八家先生は、麻酔科にいた他の医師たちを集めると、私の肩を掴んで誇らしそうに口を開く。
「このたびうちの雪村先生が、心臓血管外科の高比良洸先生と結婚しました! 拍手~!」
「は、八家先生……っ」
同僚の先生方は「へえ」とか「意外」とか言いながら、ぱちぱちと拍手を送ってくれる。
こんなに派手な発表をするつもりはなかったので、恥ずかしすぎて居たたまれない。
「どうも……あの、仕事は変わらず続けますのでよろしくお願いします」
無難な挨拶した後、そそくさと自席に戻る。
八家先生がこんな感じじゃ、他の科に噂が回るのも時間の問題かも……。
そう思うと、軽く憂鬱になる。今月この病院に来たばかりの洸だが、そのルックスと次期院長というスペック、オペの技術なども相まって、病院の女性スタッフたちの注目の的。
そんな彼が、仕事しか取り柄のない地味な麻酔科医の私と結婚したと知れたら、なにを言われるかわかったもんじゃない。