幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
私たち麻酔科医が使う薬剤などの準備、気管挿管の介助をしてもらうほか、患者のバイタルチェックは医師だけでなく彼女たちも行う。
中でも小森さんはよく気がつく看護師なので、いつも頼りにしている。
「私、本人に直接聞いてみる」
「えっ。怒られても知らないぞ」
再び目の前の仕事に集中していたら、小森さんがつかつかとこちらに歩み寄ってきた。彼女の背後では竜崎先生が不安げにこちらの様子を窺っていて、なにやら不穏な雰囲気。
もしかして、結婚のことについて突っ込まれる?
内心びくびくしていたけれど、仕事の話かもしれないと平静を装う。
「小森さん、お疲れさま。なにかご用?」
「はい。洸先生とのご結婚についてお伺いしたくて」
真剣な顔をした彼女が、迷いなく言い切る。
やっぱりその話か……。彼女とは今後も手術で一緒になるだろうから邪険にしたくはないが、興味本位でプライベートを探られるのは、あまりいい気がしない。
「それって仕事と関係ない……よね?」
「ありませんけど、聞かないと納得できないので」
「納得?」
「はい。洸先生をあきらめるか、それとももう少し粘るか。どちらにしろ判断材料が欲しいので、もしも洸先生とのラブラブエピソードがあったら教えてください」
あまりに潔い彼女の発言に、思わず目を丸くした。