幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家

「四日の祝日から一泊、私ひとりでキャンプに行こうと思ってるんだけどいいよね?」

 ふたり分のコーヒーを淹れてリビングのローテーブルに運んだ私は、ソファにで寛ぐ洸の隣に腰を下ろしてそう言った。

「……キャンプ?」

 難しい顔で医学誌を読んでいた洸が、視線を上げて怪訝そうに私を見る。

「そう。一度、麻酔科のメンバーでバーベキューをしたキャンプ場があるんだけど、そこがすごく素敵でね。一度ソロキャンプしたらハマっちゃって。休みが取れるとたまに泊まってるんだ」
「……知らなかった。俺としたことが」

 医学誌を閉じた洸は、頭痛をこらえるように額に手を当ててうなだれる。

「麻酔科のメンバーと行ったってことは、女性専用のキャンプ場というわけじゃないよな……?」
「そうだね。専用ってわけじゃなかったかな。ファミリーや女性向けとは(うた)ってるけど、カップルとか男性だけのグループでも別にOKだったはず――」

 話の途中で洸がガバッと腕を広げ、唐突に私を抱きしめた。

 なにが起こったのかわからず、私はされるがままでただ目を瞬かせる。

「こ、洸?」
「今までよく無事でいてくれた……」

 感極まったように声を震わせた洸は、ゆっくり体を離すと至近距離で私の瞳を覗く。

 彼のまなざしは真剣で、少し怒っているようにも見える。

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