幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
どこに電話をかけているのか知らないけれど、大型連休直前に空いているグランピング施設なんて、そう簡単には見つかるの……?
「ご無沙汰しています、高比良です。ええ。こちらは変わりないです。そうですか、すっかりお元気になられたようで安心しました。ところで――」
洸は核心を口にする前に、ドアから廊下へ出て行ってしまう。追いかけるわけにもいかないので、まだ手付かずだったコーヒーを飲みつつ洸が戻ってくるのを待った。
「取れた。予約」
五分ほどで戻ってきた洸は、さらりとそう言って、私の隣でコーヒーに口をつける。
「いったいどんな裏技を使ったの?」
「秘密。とにかく、四日は俺も一緒に行く。新婚旅行だと思えばいいだろ」
「新婚旅行……」
くすぐったい響きに、ひとりで照れくさくなる。
まさか、友情結婚で結ばれた私たちにそんなイベントが待っているとは思わなかった。
もちろん新婚旅行という言葉を使ったからといって、一般的な夫婦のように甘い時間を過ごすわけではないだろう。それでもなんとなくドキドキしてしまう。
「そうだ。忘れないうちに美葉の予約したキャンプ場の方、キャンセルしておかないと」
「う、うん。そうだね」
変なふうに意識しているのを悟られないよう、サッと自分のスマホを出して、キャンプ場から届いた予約完了メールを探すことに神経を集中させる。
「あ、あった」
「どれ」