幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
ヒーローのみよちゃん――side洸
美葉とグランピングに出かけることになったため、俺はその日元々入っていた先約を断ることにした。
いくら〝美葉命〟の俺でも少々罪悪感は湧いたが、相手は気心の知れた家族。かつ勝手にライバル視している対象なので、遠慮している場合ではないと思ってのことだ。
疲れた様子の美葉が寝室に引っ込んだ後、すぐにメッセージを送る。
【四日と五日は用事ができた。兄貴の引っ越しは手伝えない】
先約というのは、近日中に帰国する兄、章の引っ越し作業に協力することだった。美葉に話したら『私も手伝いたい』と言いかねないので、『野暮用』としか伝えていない。
とにかく、兄貴と美葉を会わせたくなかった。
【仕事か?】
【美葉がどうしても俺と出かけたいって言うから】
真実はむしろ逆なのだが、兄貴をけん制するためにそんな文を打ち込む。
俺たちは新婚で、ラブラブな夫婦。つけ入る隙なんてどこにもないと主張するように。
【へえ。なんだか昔とは立場が逆転したみたいだな。そういうことなら了解。美葉にもよろしく】
……誰がよろしくするか。
声には出さずにそう思い、返信はせずにスマホをテーブルに置いた。