幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家

 自宅に帰るとすぐベッドに仰向けになり、美葉の姿を思い浮かべながら女々しく涙を浮かべる。

 彼女は俺よりも兄貴みたいな男に憧れている。弟みたいな存在の俺には、幼なじみとしての好意しか感じていない。

 ――間接的に知った情報とはいえ、失恋確定だ。

 俺に残された道には、どんなものがあるだろう……。目を閉じて、あらゆるパターンを想像してみる。

 まずひとつ目。美葉がクールな大人の男を捕まえて幸せになるところを見届け、温かく祝福するという善人ルート。

 これは美葉の心にも負担を与えないので、幼なじみの振る舞いとしては百点だろう。その裏で、立ち直れないほど傷つくであろうことに目をつぶれば。

 そしてふたつ目。失恋で自暴自棄になる、闇落ち拗らせルート。

 学校を中退して悪い不良グループと仲間になりバイクで街を暴走し、心配してくれる美葉の気持ちがうれしいのに『うるせーよ』と突き放した態度を取る。

 お前が俺を振るからこうなっちまったんだろうがよお! ……とでも言いたげな堕落っぷりを見せることで、美葉に罪悪感を抱かせる作戦だ。タチの悪い構ってちゃんともいえる。

 言うまでもないが、このルートは却下だ。あとは……。

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