幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
『どうしてこう、俺の目はぱっちりして大きいんだ……』
鏡を覗く時間も増え、そこに映る自分を睨みつけたり目を細めてみたり。あらゆる角度から自分の容姿を眺め、大人っぽく見える表情などを研究した。
私服はカラフルなものが好きだったが、色味を押さえたものを選ぶようにし、少し背伸びしたブランドの店にも入るようになった。
『高比良、今日カラオケ行こうぜ』
クラスメイトからそんな誘いがあった時の断り方にも変化をつけた。
『ごめん! 今日はみよちゃんと帰るから~!』と派手に手を合わせていたのが以前の俺である。しかし……。
『……悪い。美葉、待たせてるから』
表情を変えずにそう言って、教室を後にする。カッコつけすぎではないかと最初は照れくさかったものの、何度も繰り返すうちにそう言った仕草が自分のキャラとして体に染みついていった。
大学生になり、美葉が大学の近くでひとり暮らしを始めてしまうと、めっきり会う機会は減った。
しかし、なにもしないまま指をくわえていたわけではない。
美葉に気づかれぬよう、彼女には連絡を入れずに時々彼女の大学へ出向き、探偵よろしく美葉の近況を探った。