幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家

 ……やっと。やっとだ。この日のために、俺は美葉の周囲から男を排除してきた。

 そこまでして、と笑われようが、馬鹿にされようが関係ない。

 元々恋愛対象ですらなかった俺が彼女の視界に入るためには、必要なプロセスだった。

 長年の努力も、幼い頃から大切に温めてきた重すぎる恋愛感情も必死で隠し、俺は極めてさりげなく口にした。

『じゃあ、俺とする? 結婚』

 その時俺たちがいたのは、彼女と昔よく遊んだ公園だった。

 酔っぱらった美葉が公園に寄りたいと言ったのは偶然だったものの、大人になって、昔とは変わった俺を彼女に見てもらうのには相応しい舞台だった。

 美葉の中には迷いもあったようだが、その日から職場でもちょくちょく結婚の話題をちらつかせて強引に押し切り、晴れて俺たちは夫婦になった。


「洸、これブルートゥース繋ぐのどうやるの?」

 助手席から手を伸ばした美葉が、ナビの画面を操作しながら尋ねてくる。

「美葉のスマホの設定はもうした?」
「うん。CAR(カー)なんとかっていうこれでしょ?」
「ああ、合ってる。じゃあこっち繋ぐだけか……」

 今日は待ちに待ったグランピング当日。実家に置きっぱなしだった車を取りに行き、美葉のために男でさえ乗せたことのない大切な助手席に、彼女をエスコートした。

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