幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
美葉……。結婚してから毎日のように夢を叶えてもらっているのは、本当は俺の方だ。
正直に伝えたい気持ちをぐっとこらえ、ハンドルを握りしめる。
「他にもあったら言えよ」
「えっ?」
「結婚したらやりたかったこと……まだ色々あるだろ? 俺が全部叶えてやる」
「洸……」
少し、カッコつけすぎただろうか。俺は根っからクールな男というわけではないので、時々自分の言動に不安を覚える。
美葉の反応が気になってちらりと助手席の方を盗み見ると、彼女もちょうどこちらを見たところだったので、慌てて目線を前方に戻した。
「ありがとう。思いついたら言うね」
「ああ」
涼しい顔で返事をしつつも、鼓動は暴れていた。俺の見間違いでなければ、美葉の頬がほんのり赤く染まっていた気がしたからだ。
単に照れくさかっただけかもしれないが、美葉の気持ちが少しずつこちらを向いてくれているんだとしたら……これほどうれしいことはない。
この調子で、今はまだ友人関係に近い美葉との距離を必ず縮めてみせる――。
運転に集中しているふりでまっすぐ前を見ながら、心の中ではずっと、美葉への熱い思いを滾らせていた。