幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
俺は雪村家の柔軟剤の匂いがするハンカチに顔を埋めながら、しっかり者でカッコいい、憧れの幼なじみに言った。
『ありがと……みよちゃん』
『あとでさ、洸の大好きなマシュマロ焼いて食べようよ。そしたらもっと元気になるよ』
『うんっ……』
笑顔で頷くと、美葉が頭を撫でてくれる。
臆病で泣き虫で甘えん坊だった幼い頃の俺にとって、美葉は本当に頼れるヒーローだった。その姿が眩しくて、否応なく惹きつけられてしまうような、特別な魅力を持った女の子。
本当は今でも時々……彼女を『みよちゃん』と呼んで、甘えたい。
でも、そんなことをしてしまったら、これまでの努力が水の泡だ。
クールな大人の男に変身した高比良洸は、甘えるより甘えさせる側でいなければいけない。
「ねえ、洸も来て! すっごく冷たいの……!」
俺が物思いにふけってる間に、美葉はいつの間にか川のそばまで移動していた。
履いていたサンダルを脱ぎ、デニムのシャツワンピースのスカートの裾を持ち上げて川に足をつけている。
彼女の弾ける笑顔は今でも眩しくて、俺の胸をときめかせる。
「今行く」
ごつごつした岩の上を歩き、彼女のもとへ向かう。水際まで行くとスニーカーと靴下を脱ぎ、カーゴパンツの裾を捲って、彼女と同じように足を水につけた。